HOLE06|待つレッスン

 PLAYER #05 ——

杉浦 和美

Kazumi Sugiura

HOLE 06

待つレッスン

3球でわかるのに、すぐに教えない理由とは。

葉子:長年レッスンをされてきて、いちばん大切にしていることって何ですか?

杉浦:ひと言で言えば、「気持ちのつながり」ですかね。信頼関係がないと、どんなアドバイスも話が通じないので。まずはそこにいちばんエネルギーを使います。

葉子:なるほど。スイングの前に、まずは信頼関係。

杉浦:そう。踏み込みすぎず、かといって距離を置きすぎず。心地よい距離感を保つことが大切なんですよね。

さまざまな練習器具を使い、ヘッドが走るタイミングや遠心力を体で覚える。
杉浦プロ、レッスンの七つ道具。ゴムホース、懐かしいなあ。私もこの素振りから始めたっけ。

杉浦:今の私なら、3球打ってもらえれば、その人の癖はだいたいわかります。

葉子:えっ、たった3球で?切なすぎる……

杉浦:そう(笑)。昔は全然見抜けなかったんですよ。資格を取る実技テストでも必死でした。でも経験を重ねるうちに、症例がどんどん溜まってきて。球筋や動きを見れば、ダフリの原因もスライスも、力みもパッとわかるようになりました。

杉浦:だから動画を撮って見せるんです。口で言うだけだと『俺はそんな打ち方してない』ってなっちゃうから。

葉子:自分では理想のスイングをしているつもりなんですよね。

杉浦:そうそう。

正解がわかっていても、言わない。

葉子:でも先生、3球で原因がわかるなら、すぐに指摘して直してあげればいいんじゃないですか?

杉浦:それがそう簡単ではないんです。生徒さんの『心の開き具合』って直に伝わってくるんですよね。

葉子:心の開き具合、ですか?

杉浦:まだ構えがある人にズバッと正解を言ってしまうと、貝みたいにパタッと心を閉ざしてしまう。だから、まずはご本人に話してもらうんです。ご本人が『そうか、ここを直せばいいんだ』と自発的に気づかない限り、本当の意味では直りませんから。

葉子:なるほど……指導者側にもかなりの根気がいりますね。

杉浦:本当に。頭の中では『ここを直せば絶対良くなるのに!』っていっぱい話しかけていますよ。

杉浦:自分が悩んだからこそ、できない人がどこでつまずくかが実感としてわかるようになりましたね。

ラウンドレッスンの様子。生芝からアプローチ練習ができるって、最高すぎる!

(つづく)